今年度の受験のご報告その2です。
まずは中2から高2まで4年間当教室に在籍していたYさんが、京都大学工学部に合格したと連絡をくれました。Yさんは、そもそも国語が苦手というわけではありませんでした。けれど、将来の受験には国語の力をさらに伸ばしておく必要があると考えて、お父様が当教室に通うことを決められたようです。実際、語彙力もしっかりしていましたし、何より中学の頃から何ごとにも問題意識をもっていて、いわゆる「試験のための国語力」だけでない国語力をもっている生徒だと感じていました。
こういう生徒が国語を学びにきてくれるのは、本当にうれしいものです。私の願いは、「国語の成績のよい生徒にも当教室で学んでほしい」というものですから。(「成績がよいなら、わざわざ塾に通わせる必要がないじゃないか」と思われる方もおられるでしょうが、試験に対応できる力だけが国語力ではありませんし、小論文の書き方などは中学・高校の授業でもそれほど練習する機会がありませんので、学校のテストの点数だけで国語力は測れるものではないと考えます。仮に受験目的だけに限っても、定期試験の点数がよくても全国模試のようなテストで点数が低いのなら、けっして楽観はできないと思います。)
さて、話題を戻しますが、Yさんは高3になる時に、「もう国語でそんなにひどい点数を取ることもなくなったので、高3になったら理系科目に時間をかけたい」と言ってきました。私もかなり力はついてきたと感じていたので、それがよいだろうと言いました。そして、臨んだ昨年の受験、残念ながら前期は京都大学の工学部に不合格となり、後期も千葉大学の工学部に不合格になったと連絡がありました。不合格の要因の一つが国語だったのかどうかは、もう塾を卒業していたので詳しいことは聞いていません。(私は一定期間塾に在籍していた生徒のことは『卒塾』と呼びます。)センター試験の点数は8割弱とのことでしたが、京都大学は理系でも個別学力試験で国語が課されますので、あるいは個別の国語の出来が悪かったのかも知れません。ただ、これまで当教室に在籍していた生徒で、国語が合格ラインより大きく上回ったという例もほとんどない一方、足を引っ張ったという例もほとんどないので、Yさんの国語力なら京大の国語でも合格ラインを大きく下回るような点数を取ることはないと思いますが・・・。
ともあれ、再挑戦した今年、見事志望の京都大学工学部に合格したとの連絡を受けた時は、(もう当教室の生徒ではないとは言うものの)本当にほっとしました。そして、卒塾から2年も経つのに、連絡をくれたことに感謝しました。Yさん、うれしい報告をありがとう。
次は、ほろ苦い報告です。一人は高1から高3まで在籍し、昨年志望校に合格できず、今年もう1年通ってくれた生徒ですが、残念ながら今年も志望校には合格できませんでした。試験というのはなかなか難しいもので、予備校に通って受験だけに備えて勉強したとしても、試験の難易度が前年より上がることがあったり、当日もっている力が発揮できなかったりして、前年より点数が下がることもあります。幸い、この生徒はセンター試験の国語は149点で、昨年より点数が上がったのですが、他の教科では昨年より点数の下がったものもあり、志望校のボーダーラインには到りませんでした。個別学力試験の点数はまだ分かりませんが、教室で解いた過去問題の出来具合からいくと、合格ラインには届いていないのではないかと推測します。記述問題に対応できる充分な力を培うことができず申し訳なく思います。
もう一人、ほろ苦い報告。昨春、志望校に不合格となった要因の一つが国語だったとのことで、予備校と掛け持ちで通ってくれた生徒です。
ここで気づかれた方もいらっしゃると思いますが、当教室には既卒者のコースはありません。ですから、既卒者は高3クラスに入って学習していただくことになります。こういったことに抵抗をもつ生徒さんもいるとは思いますが、私はよくスポーツに喩えて言うのですが、例えば野球部の3年生が、「1年生と一緒に練習ができるか!」などと言うでしょうか? それは内心そう思う人もいるかも知れませんが、スポーツの世界では1年生がレギュラーで3年生が補欠などということはよくあることです。勉強でもみんなが横並びというわけにはいきません。特に国語は、高1の生徒が高3の生徒より高い国語力を(それどころか中学生が)もつことは充分にあり得ます。古典はおくとしても現代文に関しては、漢字さえ知っていれば文章は読めるわけですから。実際、以前このブログで紹介したR君は高2の時に、センター試験の国語を解いて162点を取りました。(ちなみに高3の時は140点台・・・難易度が変わりますから、こういうこともしばしばあります。)センター試験の点数が伸びない要因は、漢字や語彙、古典文法や漢文の句法など基礎が身についていないことが大部分だと私は考えています。だから、高3生でも予備校生でもまず当教室でするのは、基礎知識の確認です。それをしたうえで、過去問題を解いて、自分のもっている知識を活かして、どう問題を解いていくかを学んでもらいます。国語は知識ではなく考える力が問われる科目ですが、筋道立てた考えをするためにも基礎知識は必要です。
さて、またまた寄り道をしましたが、この生徒も一緒に学習してみると基礎の部分で曖昧なままになっていることがいくつもありました。昨年のセンター試験は140点台だったそうですから、国語力の低い生徒ではありませんが、理詰めで考えられるところを感覚にたよって解いている部分が少なからずありました。当教室で9ヶ月間学んでもらって、センター試験の国語は155点。理系の生徒なので点数としてはまずまずでしたが、志望校のボーダーには届かず、残念ながら、前期の個別学力試験で逆転はできませんでした。3月20日後期試験の発表があり、後期試験で受験した大学も不合格、幸い中期試験で受験した大学に合格したので、その大学に進学することになりました。先ほど理系志望なので、155点はまずまずだと申しましたが、わざわざ国語の専門塾に通ってくれたのだから、本当は国語で貯金をつくらせてあげるべきなのです。力及ばず申し訳ないと思います。
最後にご報告する大阪大学の工学部に合格したRさんも、予備校と掛け持ちで昨春から、当教室で学んでくれた生徒です。第一志望は京都大学の工学部で、お母様と一緒に当教室に来た時は、塾に通って国語を勉強する必要はないと考えていたようです。昨年のセンター試験の国語も160点ほど(正確には覚えていませんが)取れているし、京都大学工学部の合格者の個別試験の国語の平均点はそんなに高くないので、自分で勉強しても届くと思う、というより国語という科目は塾で勉強したから伸びるとも思えない・・・というのが彼の考えでした。けれども、お母様は、予備校生になって全く国語を学ばなくなれば(通っていた予備校では国語は受講していない)、昨年の国語力を維持できないのではないか・・・そう考えて当教室に連れてきてくれたのです。それで、通常の高3クラスの前に京大の個別試験対策を30分間することにして、9ヶ月間当教室で学んでもらいました。
結果、センター試験の点数は172点。ただ、社会の点数が思うように伸びず、目指していた点数に届かなかったので、京都大学への出願をあきらめて大阪大学にしたそうです。大阪大学工学部の個別試験は国語がないので、結果的に個別試験対策の成果を試すことはできなかったのですが、お母様と合格の報告に来てくれたRさんが、「国語の勉強をしたことは無駄ではなかった。国語の勉強をしたお陰で論理的に考える力や文脈力が身につき、それが英語にも活きた」と言ってくれたのは、本当に有り難かったです。もちろん、みんながみんなそう思えるわけではないと思いますが、一人でも「国語を勉強して良かった」と思える生徒が増えてくれたら、こんなうれしいことはありません。
以上が、今年度の受験の詳細報告です。(あわてて書いたので、後日、文章を修正することもあります。私のブログではよくあることなので、ご寛容を・・・笑)
2020-03-24 10:26:17
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