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授業料の減額制度について

授業料の減額制度について

 4月から経済的に塾に通うゆとりのないご家庭のお子さんにも学んでいただけるよう、授業料の減額制度を始めることにいたしました。実は、この制度はこの教室を始めた頃から経営にゆとりが出来たら、ぜひ実施したいと願ってきたことなのですが、開塾15年、恥ずかしながらそのゆとりは一向に生まれず、ずっと実施を見送り続けてきました。
 そもそもこの教室は、組織というものが苦手で、会社勤めに向かない私がなんとか食べていくために始めたものですが、私の中には、保護者の方々が高い授業料を払ってでも子どもを通わせたいと思えるような塾にしたいという思いと、できるだけ安い授業料で多くのご家庭のお子さんが通える塾にしたいという思いの両方がありました。しかし、現実には授業料が高ければ生徒が集まりませんし、安ければ経営が成り立ちませんので、今もどれくらいの授業料にしたらいいのか悩み続けています。前回のブログ(「令和3年度の授業料改定について」)に、私は独身なので、自分一人がぎりぎり食べていければいいと書きましたが、もちろん私だって収入は多い方が有り難いです。会社員生活が短かったので、年金の額も多くはないし、正直老後は心配です。
 でも、その一方で、日本の子どもの6人に1人が貧困であるとか、親の収入格差が学歴格差に直結し、学歴格差が収入格差に直結しているという現状を思うとき、このままでいいはずはないと思い続けてきました。私のように私立の中高一貫校から東京の私立大学に進学するという恵まれた教育環境を与えられた人間が言うと、申し分のない境遇に恵まれながら収入の少ない人間のひがみにしか聞こえないかも知れませんが、東大生の半数以上は親の年収が950万円以上だとか、高学歴の人ほど高年収になる割合が高いとかいうデータを目にすると、「ほんま、おもろない社会やなあ」と思います。
 そうは言うものの、教育というのが格差を逆転するための大きな要素のひとつだと私は信じています。教育によって知識や思考力を身につければ、少なくとも人生の選択肢は増えることは間違いありません。だから、学校の授業に加えて学びたいという意志があるのに、もし経済的な理由で塾に通えないお子さんがいるのなら、国語だけではありますが当教室に来ていただきたいと思います。これはいわゆる「特待生制度」(成績優秀な生徒の授業料を免除する制度)ではありません。むしろ、学ぶ機会に恵まれず成績の伸びていない生徒こそこの制度を利用してください。
 こういう制度を始めるにあたってはずいぶん悩みました。これまで通塾していただいたご家庭も、いま通塾いただいているご家庭も経済 的に余裕のあるご家庭ばかりではないと思います。ご自分のことを後回しに、子どもの塾代を捻出してくださっているお父様やお母様もいらっしゃると思います。授業料の減額制度は、そういったご家庭からすると不公平に感じられるかも知れません。しかし、マイナス面ばかりを考えていては、いつまで経ってもこの制度は始められません。格差をなくすことは社会にとってプラスであり、長い目、広い目で見ればどのご家庭にとってもプラスになることだと思います。だから、どうかご理解をいただきたいと存じます。
 また、経済的な問題はとてもデリケートな問題ですから、授業料の減額などしてほしくない(他人の施しは受けない)、減額制度を受けていることを知られたくない(もし知られたら恥ずかしい)などと考える保護者の方もいらっしゃるかも知れないとも考えました。もし、そのようにお考えの保護者の方がおられるなら、いまお子さんに必要なことは何なのかを考えていただいて、そのうえでご決断願いたいと思います。
 減額制度が適用されるご家庭の要件については、ホームページの「授業料の減額制度について」をお読みください。(経済的に困窮している家庭には、パソコンがないだろうから、ホームページで告知しても情報が伝わらないという心配もあります(森絵都さんの「みかづき」という小説で、主人公の孫が塾の授業料を払えない家庭のサポートをしようとした時に、この問題にぶつかりました)。が、今はパソコンはなくてもスマートフォンを所有している人は相当数いらっしゃると思うので、多少状況は変わっているのではないかと考えます。
 

2021-03-17 10:44:23

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