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試験となれば、読解スピードも必要です(その一)

試験となれば、読解スピードも必要です(その一)

 試験というものは時間制限のあるものです。特に国語の試験は時間との闘いといっても過言ではないかと思います。共通テストのように、選択肢の中から正解を選ぶ問題であれば、試験時間がもっと長ければ平均点はかなり上がると思います。ところが、試験時間に対して文章量がとても多いので、丁寧に本文や選択肢を読むゆとりがなく、時間に追われながら本文や選択肢を読んで、正解を判断しなければならないのが現実です。
 当教室に来られる生徒の中には、教室で問題を解くとかなり出来るのに、試験になると点数がとれないという子がときどきいます。そんなお子さんの場合、読む速度や判断の速度が遅いために、試験時間内で的確に問題を処理出来ていないといったことも考えられます。「うちの子は漢字の読み書きも出来るし、語彙が不足しているとも感じないのに、国語の点数がよくない」と感じている保護者の方がいらっしゃったら、一度お子さんの文章を読むスピードを測ってみてはいかがでしょうか?
 
 当教室では、「速読トレーニング」と称して、毎回授業の始めに速読の訓練をしています。速読といっても、巷の本屋さんで見かけるような「10分間で1冊の本が読める」というような“超速読”が出来るようにするといった目的ではなく、高校入試や大学入試の試験時間内で文章を読んで解答が出来るだけの読解スピードをつけるための練習です。
 内容は、文章を読む時間を計測し、眼球を動かす運動をして、文字を見る力(視力と文字を見る力は必ずしも一致しません)を鍛えるというものです。もちろん文章の内容や中に出てくる語彙の難易度によって速い回、遅い回がありますが、もう何年も続けているので、生徒たちのだいたいの値が出ていますので、それと比較していただければ、お子さんの読解スピードが標準的なものかどうかの目安になると考えます。
 まずは教科書の文章などを400字詰の原稿用紙にマス目をあけずにびっしりと書き写してください。句読点も一字と考えて一マスをつかって書き写します。そうした400字の文章を何パターンか作ったら、ストップウォッチをつかってお子さんが何秒で400字を読めるか測って、平均値を出してください。読めない漢字は飛ばして読むようにします。さて、お子さんは何秒で400字を読めましたか?
 もしお子さんの読解スピードが遅ければ、そもそも理解云々の前に時間内で問題をすべて解ききることが出来ません。問題をすべて解けなければ、高得点をとることが難しいことは言うまでもありません。たとえば、2024年の大学入学共通テストの国語の総文字数は24,125文字です。(400字詰原稿用紙約60枚分)試験時間は80分(2025年から大問が1問増えて、試験時間が90分になりました)ですから、1分間に302字読めなければ、すべての文字を読み切ることが出来ません。もしお子さんが400字読むのに1分間かかるとしたら、時間内にすべての文字には目を通せないということになります。しかも、これは文字を読む時間だけで、考える時間というものは含まれていません。仮に1分間に300字程度の読解スピードだとしても、文字を読むだけで考える時間はないということになります。
 当教室の過去のデータ(といっても、きっちり平均値を出しているわけではありませんが)を見る限り、400字の文章を読む速度は速い生徒で30秒程度、遅い生徒で45秒程度といったところです。概して国語の点数のよい生徒は読む速度が速く、苦手な生徒は読む速度が遅い傾向にあります。ただ、30秒で読む子が40秒で読む子より点数がよいというわけではなく、だいたい40秒前後で400字を読める生徒なら共通テストの文字数になんとか対応出来るといった印象です。仮に400字読むのに1分間以上かかるようだと、正直高得点をとるのは難しいと思います。
 このように、学校の国語の授業や日頃の読書よりも、試験でははるかに速い読解スピードが必要だということを知っておいていただきたいと思います。一定時間以内で文章を読むスピードがなければ、いくら国語の勉強をしても試験で高得点をとることは出来ません。読むスピードが遅いお子さんには、内容の学習と並行して速く読む訓練も行っていただく必要があります。
 

2025-02-15 17:46:21

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