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習い事だと思って

習い事だと思って

 先日、この3月に三重大学の工学部に合格した生徒とお母様が塾に挨拶に来てくださいました。
 この生徒のことは先週のブログにも記しました。小学5年生のときから当教室に通ってくれた生徒で、中学生の頃には当教室の学習を「こんなことやっていて何になるんだろう?」と疑問に思っていたという生徒です。わたし自身も小学生の頃のこの子を見て、おそらく私立中学に合格したらこの教室を辞めるだろうと思っていました。
 それなのに中学入学後も続けて通ってくれたのは、きっとお母様が続けるようにしてくださったのだと思って、お母様にそのことを尋ねました。すると、お母様はおおむね次のようなことを話してくださいました。
 この子は小学校の頃から国語が苦手で、私立中学受験を決めて進学塾に通い始めても、模擬試験の判定ではいつも国語が足を引っ張っていたんです。それに話し方もおかしいというか、もう一つ何を言っているかわからないところがありました。
 それがこの塾に通わせてから、話すことの質というか内容が変わってきたんです。それに中学に合格したとはいうものの、まだまだ国語力が充分だとは思えないし、この先を考えても国語は必要だと思いました。
 なにより先生が保護者向けに出している通信を読むと、ご両親を家で介護しておられる。また、。お正月に生徒に図書カードをプレゼントしてくださったり、卒業祝いにボールペンをくださったりする。そういう大人はこの子の周りにはいない。だから、そういう大人に触れさせておきたいと思ったんです。
 この子は高校生になるときも塾を辞めたいと言ったんですが、私は「週一回の習い事だと思って続けて」と言いましたた。結果、8年間他の習い事や塾よりも一番長く続けたことになりました。
 わたしとこの子との相性が良く、また合格という結果をともなって、こういうお話になるのだと思います。19年間塾を続けてきて、保護者の方や生徒と考えの合わなかったこともたびたびあるし、不用意な発言で生徒を傷つけてしまったこともあります。だから、このお母様のおっしゃったことが必ずしも当教室や私への一般的評価ではないことは申し添えておきます。
 ただ一点「習い事だと思って」というお母様のことばは、私には本当にうれしいものでした。私自身もある意味この塾を、「国語という習い事の塾」と考えているからです。「○○メソッド」と呼ばれるような、誰が教えても一定の成果があがる指導法を確立されている学校や塾は少なからずあります。当教室にはそういうものはありません。でも、わたしは、最終的には人と人との触れ合いだと思うのです。
 この生徒のお母様はそれを重要視してくださった。わたしはそう考えています。
 

2025-03-29 13:17:51

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