国語力向上の鍵は?と問われれば、私は迷わず語彙力をつけることだと答えます。私が教室で指導してきた中で、国語の成績が振るわない生徒の大半は語彙力不足の生徒です。国語のテストの点数が低いお子さんは、漢字の読み書きとことばの意味の習得を徹底させるだけでもかなり点数はあがると思います。
保護者の方の中には、国語の問題を解く「コツ」を教えてやってほしいと言われる方がいらっしゃいますが、「コツを学ぶ前に語彙力をつけないと、そのコツは使えません」と私はお答えしています。その際、よくスポーツに喩えます。「たとえばテニスで、いくら技術を教えても、球に追いつく一定の走力や走り続ける体力がないかぎり球を打ち返すことはできません」と。
もちろんある一定の体力を備えたら、今度は技術が必要になります。でも、その技術は学校の授業でも教わっています。学校の国語の授業をきちんと真面目に受けていれば、特別難しい問題でなければ解けるだけの技術は身についているはずなのです。なのに、テストで点数がとれないのは、それを使えるだけの語彙力が備わっていないということです。考えてみてください。文章の中に読めない漢字や意味の理解できないことばが3割も4割もあったら、日本語も英語も同じようなものです。
しかし、問題は語彙力アップが課題だと分かっていても、国語の嫌いな子どもはそれに取り組もうとしないということです。これもスポーツに喩えれば理解しやすいと思いますが、走力が必要だと分かっていても毎日ランニングするのはつらいですよね。筋力が必要だと分かっていても、毎日筋トレするのは面倒です。こういう基礎的なことの大部分は地道な取り組みが必要です。しかし、地道な取り組みというのは、簡単なことであってもなかなか継続できないものです。
当教室では、高校生には「現代文単語集」というものを購入してもらっています。高校生で「英単語集」を持っている子はたくさんいるでしょうけれど、日本語の単語集を持っている子は1割もいないんじゃないでしょうか? もっとも残念ながら、当教室の高校生たちも現代文単語集を持たされているだけで、英単語集のように毎日開いて見ている生徒はおそらくいないだろうと想像しています。
これもスポーツに喩えれば分かりやすいと思いますが、スポーツで苦しい練習をするとしたら、そのスポーツが好きで楽しいからか、顧問の先生や監督・コーチから促されるからか、どちらかでしょう。国語の苦手な子はたいてい国語を楽しいとは思いませんから、自分から地道な語彙の学習に取り組むことは期待できません。
ならば誰かが促す必要があります。それを親御さんがするのか、学校の先生がするのか、それとも塾がするのか。いずれにせよ国語の苦手な子どもについては、子ども任せにしていていつか伸びるだろうと考えるのはすこし楽観的すぎるように思います。
2025-04-12 11:32:13
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