引き続き語彙力のお話をいたします。
語彙力が大切なのは充分分かっているけれど、どうしたらいいのだろう? そう考えていらっしゃる親御さんも少なくないと思います。こういう時に、「どうしたら語彙力が育つだろう」と考えるのはもちろんですが、「なぜ語彙力が育たないのだろう」と考えてみるのも一法です。
私は語彙を身につける一番の鍵は、「ことばに出会う」ことだと考えています。そもそもあることばに出会わないかぎり、そのことばの意味を知るはずもありません。例えば、家で過ごす時間の大半を友達とラインをしているとしたら、そこで出てくる語彙は当然日常会話レベルの語彙を超えることはないでしょう。テレビをつけているとして、報道番組を視聴しているのと、アニメやドラマを視聴しているのとでは、報道番組を視聴しているほうが、国語の問題に出てくるような語彙に出会う確率は高いはずです。アニメやドラマでは流行のことばや若者ことばに出会えるかも知れませんが、残念ながらそういうことばは物語文の中にさえ登場することは稀です。祖父母と一緒に暮らしていれば、おじいさんやおばあさんの遣うことばと出会えます。読書をすれば、当然自分の知らない語彙と出会います。まずは「ことばとの出会い」の場をつくることが、家庭での国語学習の基本ではないかと私は考えています。
もちろん出会っただけでそのことばが身につくわけではありませんから、出会ったあとにどういう形でそのことばを身につけるかは考える必要があります。でも、そもそものことばとの出会いが少ないのではないか? 二十年近く国語指導を通じて生徒たちと一緒に学んできて、私はそう感じています。
当教室ではお正月に図書カードをプレゼントしています。本屋さんに行くきっかけとしたいからです。図書カードで文房具を買える本屋さんもあるので、本は買わないかも知れません。(そもそも500円分の図書カードなので、ほとんどの本は買えないでしょう)それでも、本屋さんに行けば、そこに並んでいる本をちょっと手にとってみることがあるかも知れません。本屋さんには怒られるかも知れませんが、買わなくてもいいから親子で本屋さんに出かけてみましょう。本の背表紙を見るだけでもことばと出会えます。
あるいは親子で散歩がてら図書館に出かけてみてはどうしょう。当教室のある岩出市の市立図書館は、根来にあって周囲の環境もとてもいいですよ。
お子さんとの会話でも時にはあえて難しいことばを遣ってみてはどうでしょうか。朝の10分だけでもテレビのチャンネルはニュース番組に合わせてみてはどうでしょうか。お子さんへの伝言は、ふりがなをつけた漢字にしてはどうでしょうか。
お金をかけなくても、ことばとの出会いの場はつくれます。どうかたくさんのことばを子どもたちと出会わせてあげてください。
2025-04-19 11:53:20
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