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久しぶりに卒塾生のお話

久しぶりに卒塾生のお話

 久しぶりに卒塾生のことを書きます。今日は当教室で学んで、大学ではなくプロスポーツの世界に進んだ生徒のお話です。
 
 K君が当教室に来たのは中学1年生の三学期、お母様はこうおっしゃいました。
「夫もこの子の兄もプロスポーツ選手で、Kも父親や兄と同じ道に進むと決めている。そのせいか全く勉強しようとしない。けれど、スポーツ選手だからといって勉強が必要ないわけではない。勉強の大切さに気づかせてやってほしい」
 初めての授業のとき、私はこう尋ねました。
「君はスポーツ選手には勉強なんか必要ないと思ってるやろ?」
 K君は力強く首を縦にふりました。そこで私はこう言いました。
「でも、スポーツの世界だって体力と技術だけで勝てるという単純なものやないと思う。私はその世界のことは詳しくないけど、お父さんやお兄さんに訊いてみてほしい。きっとみんな勝つために戦略や駆け引きを考えてる。それには勉強が必要なんや」
 これで納得したかどうかは分かりませんが、K君はそれから当教室に中学3年生の終わりまで通って熱心に学んでくれました。
 とはいえ国語の成績が劇的に上がったわけではないのですが、卒塾のときにお母様がこうおっしゃいました。
「Kの中3の担任は中1のときに国語を教えてくださった先生です。その先生が新学期に自分のクラスの名簿を見て、『あのKがいるのか』と正直思ったそうなんです。中1のときは授業中喋るは、立って教室を歩き回るは、手がつけられなかったと。ところが中3になってまた国語を担当したら、じっと座って、しっかりとこちらの話を聴いている。『お母さん、人ってこんなに変われるもんなんですね』と進路面談のときに言われました。私はそれがなによりうれしかった。」
 私がK君にくり返し伝えたのは、考える力をつけるために勉強しようということです。テストの点数には反映されませんでしたが、中2のときには「学校で先生の話すことがだんだんと分かってきた」と言ったそうですから、その力は少なからず育っていたのではないかと思います。お母様が担任の先生のお話を聴いてなによりうれしかったように、私もお母様の話を聴いてなによりもうれしく思いました。学びによって人が変わる。これ以上にすばらしいことがあるでしょうか。
 高校を卒業した彼は、念願のプロスポーツ選手になりました。もっともまだお兄さんほどの活躍は出来ていないようです。
 K君、プロになった今こそ、体力・技術力とともに、考える力を鍛えるべきときだと思いますよ。お互い学び続けて、変わっていきましょうね。活躍を期待しています。
 

2025-04-26 12:27:32

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