私がお世話になった小学校の校長先生をされていたある方の持論に、「食べ物の好き嫌いは、人間の好き嫌いに通じる」というものがあります。食べ物の好き嫌いの少ない人間は人間の好き嫌いも少なく、さまざまなタイプの人と上手につき合うことが出来るというものです。
持論というほどではないのですが、食べ物の好き嫌いに関して言えば、子どもの頃にさまざまな食べ物の味に触れておいたほうが、好き嫌いが少なくなって、新しい味にも対応しやすくなると私は考えています。父も母も好き嫌いが少なく、小さな頃から食卓にはいろいろな食べ物が並びましたし、中学1年生から下宿を3回も変わって各家庭でさまざまな味に触れてきましたので、私は子ども頃から比較的多くの味に触れているほうだと思います。その私の経験からすると、多くの味に触れることで舌の対応力は高まり、好き嫌いがなくなります。
さて、このことと国語となんの関係があるのかと思った方もおられるかも知れませんが、文章にも食べ物のようにさまざまなタイプがあり、人によって得手な文章と苦手な文章があります。子どもによっては得手な文章の問題はかなりよく解けるのに、苦手な文章の問題はまったくと解けないという子どももいます。言わば文章の好き嫌いです。文章の好き嫌いもまた、まずはさまざまな文章に触れることがその克服の第一歩だと私は考えます。だから、さまざま文章を採用している学校の教科書や問題集はそれ自体がすぐれた教材です。教科書はともかく、学校や塾で購入する形をとらない限り、多くの子どもたちは国語の問題集など買うこともないし、解くこともないのではないかと思います。しかし、国語の苦手なお子さんこそ、ぜひ読解問題集を買ってください。問題が解けなければ文章と設問を読んで解答を写すだけでもかまいません。まず文章を読む機会を増やす=多くの味に触れることが第一歩です。
さて、さらにここで食べ物と学力の関係についても触れておきましょう。一食当りの摂取食品数と学力には相関関係があり、摂取食品数の多い子どものほうが学力が高いという調査結果があります。お子さんの学力を伸ばしたいと思っていらっしゃる保護者の方々は、勉強の方法だけでなく、食事についても見直してみてはいかがでしょうか。
食と国語はつながっていると私は考えています。
2025-05-03 18:29:39
| コメント(0)