国語学習についてお伝えするとき、特筆しておきたいのは、国語学習の波及効果です。本来、学びというものには垣根というものはないのだと思います。科目や教科というのは、あることを学ぶための手段として設けられているものであって、すべての教科の学びは互いに関連しあって、その人の知の体系をつくりあげていきます。
しかし、実際に教えるとなると教科の垣根をとりはらって総合的に教えるということを限られた時間枠の中で実施することは困難だし、また総合的に学ぶためには各分野の基本知識が必要ですから、一定の段階までは科目ごと教科ごとの学びが必要となります。ただ、それはあくまで学びの場における便宜的な区分けであって、得手不得手があるにしても、「英語力」とか「数学力」とか「国語力」とかいうものは、それぞれ固有の学力ではないと考えて学習すべきだと私は考えています。
例えば、国語と社会の成績には相関関係があって、社会の成績のよい生徒は国語の成績もよいとの指摘があるそうですし、英語の成績と国語の成績にも相関関係があると言われています。つまり、英語や社会の学習をしっかりやれば、国語の成績もよくなるということになります。数学と理科も同様でしょう。要はどの教科の学習も手を抜かず、真面目にこつこつと勉強する生徒が、どの教科の成績もよいという理屈になるわけです。当り前と言えば、当り前ですね。
とは言うものの、限られた時間の中ですべての教科に充分な時間をかけられるわけではありません。仮に毎日五教科を一時間ずつ勉強するとなれば、一日五時間の勉強が必要なわけで逆に睡眠時間の不足をまねきかねません。
そこで思い出していただきたいのが、さきほどの各教科の相関関係です。五教科の中で、もっとも他教科との相関が強いのはどの教科でしょうか? 言うまでもなく国語です。国語力が高まれば、教科書を読んだときの理解力も当然高まります。社会や理科の教科書を読んだときに、一読してその内容が理解出来れば学習時間の短縮につながります。問題を解くときだって、設問を正確に読めなければ当然正しい解答は導き出せないのですから、テスト問題が日本語で書かれている限り、他教科の成績を下支えしているのは国語なのです。また、仮にすべての問題文・設問が英語で書かれていたとしても、それを読み解くには文脈力が必要です。その文脈力を培うのにもっとも適した教科は国語です。
国語の勉強をしても、国語の成績はすぐには上がらないかもしれません。ただ、だから国語の勉強が無駄になるわけではありません。国語学習の波及効果が他の教科の成績に現われてきます。そして、正しい学び方を続けていれば国語の成績も必ず上がります。
国語とは教科の枠を超えた教科なのです。
2025-06-07 11:43:10
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