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漢字習得は国語の要

漢字習得は国語の要

 国語学習のつまずきの第一歩は漢字習得のつまずきです。国語学習でつまずいている子どもは、ほぼ例外なく漢字の読み書きが一定の水準に達していない子どもです。
 漢字習得にはいくつかの壁があって、それを乗り越えられなかった子どもが、のちのちまで国語で苦労しているように思われます。
 第一の壁は小学2年生の配当漢字の習得です。1年生の配当漢字が80字なのに対して、2年生では倍の160字に増えます。また、1年生で習う漢字は画数が少なく構造の簡単ものがほとんどですが、2年生からは画数が多いものや構造の複雑なものが増えます。数が増え、画数が増え、構造も複雑になり、そのうえ日常的につかわないことばも増えてくるので、ついていけない子どもが出てくるのでしょう。
 第二の壁は4年生の配当漢字です。そもそも漢字はひらがなと違い、音と形に意味がともないます。低学年の漢字は、具体物や日常的につかうことばが多いので、ごく自然に漢字の音と形と意味がセットになります。ところが、3・4年生になると、音読みのみの漢字や日常的につかわないことば、概念語などが増えてくるので、意識的にことばの意味を学ばないと、音と形と意味がセットになりません。そのためことばの意味を理解しきれない子どもがついていけなくなるのではないかと私は考えています。いくら音と形を覚えても知らないことばは、なかなか読んだり書いたり出来ないものです。
 第三の壁は中学1年生で出会う漢字。ここからは本格的に書き言葉の世界です。これまで「負担を減らそうとする」と書かれていた文章が、「負担の低減を図る」といった表現に変わってきます。「低」も「減」も書けても、「低減する」を知らなければ、この熟語を漢字で書くことは困難です。
 さて、これらの壁を乗り越える方法ですが、私はこの壁を乗り越えるポイントはいずれもその一学年前の漢字学習にあるのではないかと考えています。
 1年生のときに、80字の配当漢字の音読み・訓読みと訓読みの書き取りに加えて、音読みの書き取りも出来るようにしておくこと。3年生のときには、熟語の意味をきちんと確かめてから読みや書き取りの練習をすること。6年生のときは、辞典や参考書などをつかって、一つの漢字について複数の熟語の読み書きが出来るようにすること。(例えば、「視」なら「視力・注視」以外にも「視察・凝視・重要視・問題視」などの意味を覚え、読み書き出来るようにする。)
 物事にはタイミングがあって、それをすべきときに充分な時間と労力をかけておかないと、後にそれをしようとするとはるかに多大な時間や労力がかかるということがあると思います。漢字習得においても、必要な時期にきちんと時間と労力をかけて、後回しにしないことが大切だと考えます。
 

2025-06-14 11:50:26

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