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物の名前を学びましょう

物の名前を学びましょう

 今日はまずアメリカに旅行に行って、屋台でホットドッグを買う場面を想像してみてください。先週も書いたように、いまはスマートフォンでも音声翻訳が出来るので、それを利用して食べたい物を伝え、買うことは可能です。しかし、メニュー表のようなものがあるなら、ホットドッグを一つ買うくらいなら片言の英語でも可能でしょう。いえ、片言どころか、単語の羅列だって、通じると思います。メニューのある商品を指さして、「ディス、ワン、プリーズ」とでもいえば、それで事足ります。
 しかしメニュー表や目の前に実物がない状態で買うとなると、「ホットドッグ」という名前を知らなければ、なかなか大変です。仮に「ソーセージをはさんでケチャップとマスタードをかけた細長いパン」と言ったとしてもそれでは通じないかもしれません。少なくとも、「ホットドッグ」ということばを使うよりもずっと難しそうです。  
 前置きが長くなりましたが、このメニューも実物もなくことばだけでホットドッグを買おうとするのが、国語の世界です。仮にこの場面を文章で描いたとしたら、次のようになるでしょう。
「アメリカのニューヨークの街を散歩していた私は、ちょっと小腹がすいてきた。ちょうど通りの向こうにホットドッグの屋台がある。そうだ、ホットドッグを食べよう。屋台の前まで来たものの、どうやって注文したらいいか分からない。仕方がないので、メニューを指さしてこう言ってみた。ディス、ワン、プリーズ・・・」
 この文章を日本語で読んだ子どもがいるとしましょう。もしその子が、「アメリカ・ニューヨーク、屋台、ホットドッグ」というようなことばを知らなかったとしたらどうでしょう? おそらく頭の中に場面を思い描くことが出来ず、何が書かれているのか理解出来ないでしょう。
 「まさか、アメリカやホットドッグを知らない子どもはいないでしょう」と思われますか。しかし、それは極端だとしても物の名前を驚くほど知らない子どもたちは少なからずいるのです。そうなると、もう国語は読み方、書き方以前の問題となってきます。文章の中に知らないことばがいくつもあったら、読み方だけでなくことばの意味も教えなければその文章は理解できません。しかし長い文章なら、ことばの説明だけで授業時間が終わってしまいます。
 うちの子は国語が苦手で・・・という親御さんは、お子さんがどのくらい物の名前を知っているのか確かめてみてください。おそらく、当然これは知っているだろうと思うような物の名前を知らないということがあると思います。その場合は、日常生活の中でいろいろな物の名前を丁寧に教えてあげてください。まずは身の回りにある物の名前から覚えていくようにするのが一番です。
 概念語や抽象語を学ぶには、学校や塾のほうがよいかもしれませんが、物の名前を学ぶには家庭が一番です。何より家庭には教室よりもたくさんの実物があって、それらに触れながら名前を学ぶことができます。どうか、お父さん、お母さんが子どもたちの良き先生となって、たくさんの物の名前を子どもたちに教えてあげてください。

2025-10-25 13:44:17

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