今回は漢字学習の重要性について再びお伝えいたします。国語の苦手な子どもの大部分は漢字の読み書きのできない子どもです。当然といえば当然ですが、これはなかなか軽視できない問題です。
国語の塾をもう20年続けてきましたが、私の教室ではこれまでひらがなの読み書きができない生徒には出会ったことがありません。(カタカナが一部読み書きできない生徒はいました。)ですから、ひらがなに関してはおそらく大部分の子どもが読み書きできるのではないかと考えています。
ということはルビ付きの文章であれば、少なくとも字面だけは読めるということになります。ところが、私たちが読む文章の多くにはルビがついていません。つまり、漢字が読めることが前提で書かれているということです。学校の教科書も例えば3年生の教科書であれば、2年生までに習った漢字は読めるということを前提としてルビをつけていない出版社が多いようです。つまり、漢字が読めないと多くの文章は読めないのです。
ですから、子どもに国語力をつけさせたいと考えておられる親御さんは、まず小学校低学年のときからしっかりと漢字の読み書きを身につけさせるということを意識していただきたいです。漢字習得に関しては、少なくとも小学校低学年のうちは、学校任せ、塾任せにしないでご家庭で身につけさせるのがよいと私は考えています。文字の習得というのは個人差が大きいので、学校のような集団指導では習得の遅い子どもをカバーしきれないし、週4,5日通塾できるならともかく週1、2日の通塾では一度に学習する漢字の数が増えてしまうので、習得の苦手なお子さんの場合なかなか覚えきれません。
大事なのは、小学校1、2年生ぐらいの段階で家庭でのフォローが必要かどうかを早く見極めることだと思います。1年生の段階で問題なくても、2年生の段階で出来が悪くなったら、すぐにフォローを開始すべきです。「1年生のときはできたから、そのうち覚えるだろう」などと油断していると、未習得の漢字に新しく習う漢字が追加されて、雪だるまのように読み書きできない漢字が増えていきます。こうなると、漢字を身につけるハードルがぐんと上がります。4,5年生ぐらいになって漢字テストで2割、3割ぐらいしかとれなくなって、そこから慌てて勉強しても今まで積み残してきた漢字と新しく習う漢字の両方を身につけるのは容易ではありません。
そういう状態で中学生になり、ルビなしの国語辞典を使わなくてはならなくなると、ことばを調べても漢字が読めないために説明文が理解できません。そうなると、多くの文章に触れても語彙力が身につかない、語彙力がないから文章を読んでも理解できない、理解できないからますます文章を読まなくなるという悪循環に陥りがちです。そうならないためにも、少しでも漢字習得に遅れを感じたら、早めの対応をとることをお勧めします。
家庭で身につけさせるといっても、そんなに大層なことではありません。リビングやキッチンで、毎日2字、学校で習った漢字のおさらいをするだけ十分です。この「毎日」というところがポイントで、回数を増やせば一回の学習時間を短く、学習する漢字の量も少なくできるので、子どもの負担が少ないのです。これはご家庭だからこそできることです。
子どもと一緒にお風呂に入れる時期が限られているように、親子で勉強できる時期も限られています。お子さんと過ごす時間の中に毎日10分ほどでかまわないので、漢字学習の時間を設けることをお勧めいたします。
2025-11-01 13:44:40
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