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塾生たち(その四)

塾生たち(その四)

 今回は、現在在籍している小学2年生たちのことを書こうと思います。この子たちは小1の春から入会してきた子どもと秋から入会してきた子ども、冬から入会してきた子どもと合わせて4名いますが、どの子もなかなか愉快な子たちです。これは小1のときのことですが、時間になって教室に入ると子どもたちの姿が見えません。みんなで机の下に隠れていたのです。
 トップページの下部のストリートビューで教室内がご覧になれますので、ご覧になっていただくと分かるのですが、当教室の机は縦60センチメートル・横120センチメートルの二人掛けの机で、4枚の合板を組み合わせてできていますので、中に楽々と子どもたちが隠れることができます。それで教室に早く来た子どもの中にはよく机の中に隠れて、他の子どもたちが来たときに驚かそうとする子がいるのですが、まあたいていは隠れていることが分かるのでそれで驚かされる子どもはほとんどいません。それでも飽きもせず子どもたちはよくこのかくれんぼをします。私ははじめこんなバレバレのかくれんぼのどこがおもしろいのだろうと思っていましたが、そのうちにふと「これは隠れることを目的としたかくれんぼではなく、見つけてもらうことを目的としたかくれんぼなのだ。」と気づきました。
 そのときも小1の子どもたちは、この『見つけてほしいかくれんぼ』をしていたわけです。しかし、簡単に見つけてしまって、子どもたちの術中にはまってはおもしろくないので、私は子どもたちを見つける代わりに私も机の下に隠れることにしました。しばらくすると、机の下で子どもたちがひそひそ話す声がします。それでも私は机から出ずにじっと息をひそめてかくれていました。すると、不思議に思ったのでしょう。机の下から子どもたちがはい出す気配がしました。それでも私はまだ机の下から出ずに隠れて続けています。そのうちにとうとう一人が私が隠れている机のところにやって来て「み〜つけた!」。その日は授業の時間をかくれんぼで15分あまりにつかってしまいました。(保護者の皆さまごめんなさい。)
 さて、その子たちですが、2年生になり4月に実施した「ことばの調査」ではなかなか秀逸な答えを書いてくれました。当教室では毎年4月に語彙力調査をします。国語辞典から無作為に(といっても偏りがないよう多少調整はしますが)1000分の1の語句を選び出し、その語の意味を書くようにします。もっとも説明がむずかしい語句もあるので、その場合その語句をつかって例文を作ってもらい、適切な例文が作れていたら、一応その語彙については理解しているという判断です。小学生の場合、31000語所収の旺文社の小学国語辞典から31語を選んで、意味や例文を書いてもらいます。この10年間の調査では、小学校低学年では10語弱が平均で、10語以上書ける子どもは当教室では語彙の豊富な子どもです。中学年では15語前後が平均で20語以上書ける子は語彙が豊富な子ども、高学年では20語前後が平均で、25語以上書ける子どもは語彙が豊富な子どもだという判断をしており、例外がありますが、おおむね語彙数と国語力は相関関係にあります。
 ところで、2年生の子どもたちですが、語彙数はみな10語弱で、平均値ぐらいですが、説明の内容がとてもよいと私は思いました。たとえば、「平和」の説明。Y君・・・「なかよくいっている国」。Sさん・・・「わるいことが一つもおこらない」。いいなあ・・・と思います。中学年ぐらいになれば、「みんな平和をのぞんでいる。」とか「平和な国にしたい。」などの文を書くようになりますが、私はなんだかこの説明のほうが好きです。「情けない」の説明。Hさん・・・「だめだめ」。もちろん正確ではありませんが、彼女のもっている語彙で「情けない」をうまく表現していると私は感じました。大人顔負けの説明をするよりも、いま持っている知識と経験とことばを総合して書かれたこんな説明のほうが私は現段階では望ましいと考えています。「きびしい」の説明。Hさん・・・「むずかしい」。これは大人が困難な場面で「きびしいなあ・・・」などと言うのを聞いたのだと思います。Sさん・・・「こわいもの」。これは「きびしい先生=こわい先生」から出た発想だと思います。「満足」の説明。Sさん・・・「やりたいことをいっぱいしてもうじゅうぶんのこと」。Y君・・・「じゅうぶんだしありがとう」。とてもすばらしいと思います。
 もちろん国語辞典を調べる習慣もつけていってほしいし、国語にとって正確な語の意味を理解することは大切ですが、まだ小さい学年のうちはお父様やお母様、おじいさま、おばあさまが日常の体験の中で語の意味をかみくだいて話してあげてほしいと思います。それが多少不正確であっても、体験とともにことばが心に刻まれることが大切だと私は考えています。知識がつき、自分で国語辞典を調べられるようになれば、「あのときのお母さんの説明はちょっと違っていたな」と自分で気づくようになります。しかし、そういった学びとは別に、両親や祖父母から一つのことばが子どもに口うつしで伝えられる、そのことに意味があると考えます。
 国語力というのは、けっして学校や塾だけで培われるものではないと私は常々保護者の方々に申し上げていますが、この子たちのすてきな説明を見て、改めてそう感じました。

2016-06-11 20:45:04

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